資格試験対策において、教科書(テキスト・基本書などと呼ばれる場合もある)をどのように読むかは重要だと思います。
教科書の読み方は、人によってまちまちで、それぞれメリット・デメリットがあると思います。
そこで今回は、「資格試験における教科書を読むスタイルの分類」と題して、教科書を読む方法を大きく5つに分類し、それぞれの特徴や、どのような場面で使いやすいのかを整理してみました。
- 1.通読スタイル
- 2.通読と過去問演習を並行スタイル「教科書→過去問演習」型
- 3.通読と過去問演習を並行スタイル「過去問演習→教科書」型
- 4.苦手分野のみを読むスタイル「過去問演習→教科書」型
- 5.辞書的に読むスタイル「過去問演習→教科書」型
- まとめ
1.通読スタイル

初めから最後まで通して、全部を読んでいくスタイル(過去問は、一通りの教科書を読んでから解きます)。
初めて未知の分野を勉強する場合は、全体像など大まかな内容を把握するという意味ではメリットがありそうです。
とにかく読んでいくだけで苦しいので、厚い教科書だと途中で挫折する可能性があります。
目的意識を持って読むことが難しいので、得るものが少ない。
よって、基本的には教科書を読む場合は、過去問演習と並行させてやる場合が資格試験界隈において主流(?)ですが、どうしてもこの方法を取りたい場合は、細かい部分は気にしないで、全体像を把握するためにざっと読むというのが良いと思います。
また、完全初学者※の方であれば、最初の1周だけはこの方法も良いかもしれません。
※行政書士試験や司法書士試験の勉強をするのは初めてという方の中でも、宅建の勉強はしたことがある・大学で法律の勉強をしたことがあるという方などは多いです。そのような経験もなく、全く法律の勉強をしたことがないという方を、私は「完全初学者」と呼んでいます。
2.通読と過去問演習を並行スタイル「教科書→過去問演習」型
教科書で特定の分野・テーマを勉強したら、その部分に対応する過去問演習をするスタイルです。
- 細かくいくなら、教科書で「代理」を勉強したら、「代理」の過去問を
- 大まかにいくらなら、教科書で「総則」を勉強したら、「総則」の過去問を
といった感じになります。
教科書で読んだことが、ちゃんと理解できているか、覚えているかを直ぐに確認することができるというメリットがあります。
また、「教科書を読んだ後に問題を解くぞ!」と意識しておくと、教科書を読む時の集中力が高まる気がします。
初学者向けの読み方だと思います。
3.通読と過去問演習を並行スタイル「過去問演習→教科書」型

先ほどのスタイルとは逆で、特定の分野・テーマの問題を解いたら、その部分に対応する教科書の頁を読むスタイルです。
過去問でどの知識が、どのように問われているのかを認識してから、教科書を読むことができます。これにより、本試験でどんな問題が出題されそうかということを意識しながら、教科書を読むことができます。
2の通読「教科書→過去問演習」と比較すると、勉強が進んでいる受験生向け方法だと思います。
4.苦手分野のみを読むスタイル「過去問演習→教科書」型
例えば、過去問を解いて「代理が苦手だな💦」と思ったら、教科書の代理の部分のみ読んでみるというスタイルです。
通読スタイルと比較すると、読む時間を大幅に短縮することができます。
自分の苦手な所を的確に把握することができるのであれば、効果的な教科書の読み方だと思います。
このスタイルだと、どのように自分の苦手な所を把握するか問題になります。①問題を解いたときの直感に頼る方法(直感型)、②問題の正答率(問題別ではなく、選択肢別の方が良い)を計測して判断する方法(計測型)などがあります。①直感型だと苦手分野を客観的に把握するのが難しい、②計測型は把握する作業に時間がかかる・問題数が少ないとサンプル不足で正確に苦手分野を把握できないなどのデメリットもあります。
いずれにしても、自分の苦手な所を把握するのは難しいです(自分の苦手な所を把握して、克服するということ自体が、資格試験に取り組む醍醐味かもしれませんが・・・)。
5.辞書的に読むスタイル「過去問演習→教科書」型
過去問を解いて理解できないところがあった場合を調べるために、教科書の該当しそうな箇所を読んでみるスタイルです。教科書というよりは、辞書的に使うスタイルですね。
このスタイルには、①解けなかった・間違えた所を確認する、②理解できなかった所を確認する、③関連する知識を確認するなどの要素があります。後述の知識の網羅性との関連で、特に③の要素が重要だと思います。過去問知識だけで本試験に合格するために必要な知識を得ることは難しいので、過去問の関連知識も押さえておくことが大事だと思います。
このスタイルは、自分の苦手な所を克服する要素が最も強い読み方なので、資格試験対策としては最も効果的な読み方だと思います。
ただし、①このスタイルの読み方に依存し過ぎると知識に網羅性がない、②教科書のどこら辺に何が書いてあるかを把握していないと自分の知りたいことを見つけることに時間がかかるなどのデメリットもあります(対策としては、目次だけでなく、事項索引も使うと良い。教科書によっては条文索引がついている書籍もある!*1)。
よって、このスタイルは通読スタイルと併用するの良いと思います。
方法論として、難しい部分もあるので、上級者向け・本試験直前向けだと思います。
まとめ
以上の5つのスタイルを特徴ごとにまとめると、以下のような図になります。
| スタイル | 教科書を読む目的 | 向いている段階 | 網羅性 | 効率 |
|---|---|---|---|---|
| ①単純通読 | 全体像・体系を把握 | 最初の1周 | 〇 | × |
| ②教科書→過去問 | 学んだ知識を問題で確認 | 初学者 | 〇 | △ |
| ③過去問→教科書 | 出題される知識を意識して読む | 中級者 | 〇 | △ |
| ④苦手分野型 | 弱点を重点的に補強 | 中~上級者 | △ | 〇 |
| ⑤辞書型 | 間違い・疑問・関連知識を調べる | 上級・仕上げ | △ | 〇 |
通読スタイルである①②③は知識網羅性が高いです。その中で、過去問演習を同時並行するか、しないかによって効率性が変わってきます。
④⑤は通読スタイルではないので知識の網羅性に不安はあります。一方、効率性は一番高いと思います。
自分の勉強の進捗状況を把握して、自分にあった教科書の使い方をすることが重要です。
私としては
(①)→ ② → ③ →④⑤ ※どちらかというと⑤の方が④よりお勧め。①は省略可。
の順番で取り組むのが良いかと思います。
ただし、①②③の通読を全くせず、⑤又は④を中心に勉強してきた受験生であれば、最後の総仕上げとして①教科書の通読をするという方法もあるらしいです(私はやったことはない)。通読だけをすることにより、バラバラだった過去問の知識が、綺麗に整理されるらしいです。
*1:司法書士試験の教科書だと、山本浩司オートマシリーズや松本雅典リアリスティックシリーズなど。