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「送り付け商法」身に覚えのない商品が届いた時の対応 特定商取引法59条1項

消費者法について勉強しているので、今回は送り付け商法について解説します。

「送り付け商法」とは、悪質な業者が注文していないのに勝手に商品を送り付けて代金を請求する手法です。

例えば、「この商品が届いてから、〇日以内に返品しない場合は契約が成立します」などと書いてある書面とともに、商品が勝手に送り付けられてきます。

 

契約は、申込み承諾によって成立します(民法522条1項)。

売買の場合は、「売ります」という申込みと「買います」という承諾によって、売買契約が成立することになります(「買います」という申込みと「売ります」という承諾の場合もある)。

送り付け商法の場合は、「〇日以内に返品しない場合は契約が成立します」として商品を送り付ける行為が「売ります」という申込みにあたると考えることができます。

しかし、買ってもいない商品が送り付けられて来て返品しなかったり、「買いません」と業者に返信しなくても、「買います」という承諾をしたとはみなされません。

よって、売買契約が成立するとみなされることはありません。

業者に代金を支必要も当然ありません

 

ただし、売買契約は成立していないわけですから、送り付けられてきた商品の所有権は業者にあり、商品を受け取った人は業者に商品を返さないといけないという問題があります。

送り付けられて商品を勝手に処分できないということになりそうです。

 

このような場合に悪質な業者から消費者を守るために出てくるのが、特定商取引に関する法律です(以下では、「特商法」と省略します)。

以前は、商品が送付されてから14日間経過しても業者が引き取りに来ない又は商品の引き取りを請求してから7日経過しても業者が引き取りに来ない場合に、業者は返品を請求することができないとされていました(旧特商法59条)。

最低でも1週間は商品を保管しなければならないということになってしまい、勝手に送り付けられていたにもかかわらず、消費者に負担がかかっていました。送り付けられた商品が生ものだと特に困ります。

令和2(2021)年に特商法が改正されて、一定の期間を設けずに業者は送付した商品の返還を請求することができないとしました(特商法59条1項)。

したがって、買った覚えがない商品が届いた場合は、すぐにその商品を処分することができます

 

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