クーリングオフは、前回の記事の通り、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続約務提供・訪問購入・連鎖販売取引・業務提供誘因販売取引の6種類の取引において認められます。
一方、ネット通販など通信販売に関しては、クーリングオフは認められません。
通信販売には、訪問販売などのような不意打ち要素がないので、消費者が購入するかどうかを慎重に判断することができるからです。
とはいえ、通信販売の場合は実際に手に取って商品などを見ることはできませんので、実際に届いた商品を確認したら思っていたものと違うという場合があります。
そのような場合に備えて、特定商取引法に関する法律(以下「特商法」と省略)では返品権という者が認められています。
通販で購入したものに関しては、商品が届いてから8日以内であれば契約の解除をすることができます(特商法15条の3第1項)。
ただし、クーリングオフとの大きな違いがあり返品権は任意規定だということです。
つまり、返品を認めないとする広告を表示することにより、返品権の排除をすることができます(特商法15条の3第1項但書)。
この広告については、「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること」とされています(特定商取引に関する法律施行規則24条3号)。
具体的には、以下のような方法が容易に認識することができる表示方法とされています(消費者庁「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」)
- 返品特約を極めて小さい文字で表示したり、広告内の認識しにくい場所に表示するのはダメ
- 「返品特約に関する事項」など表題を付けるなどして、申し込み方法・振込方法など他の事項と明確に区別して表示すること
- 「返品の可否」「返品の条件」「返品に関する送料負担の有無」について明瞭な表示をすること。商品の価格と同じ文字サイズにする、赤文字で強調するなど
また、クーリングオフの場合は返品費用は事業者負担ですが、通信販売における返品権の返品費用は消費者が負担することになります(特商法15条の3第2項)。
通販で購入する際に、返品に関して(返品の可否・返品の費用など)あらかじめ確認することが必要になりそうです。